一目均衡表の取引戦略は、ある資産の現在のトレンドが続くかどうかを判断する為の日本のローソク足チャートの手法です。
今回は一目均衡表を紹介し、どのな構成になっているのか、そして取引にどの様に利用出来るのかを説明します。世界中のトレーダーが使用する最も人気のあるテクニカル指標の1つで、一見複雑そうに見えますがトレーダーに貴重な情報を与える事が出来ます。
一目均衡表とは?
Ichimoku Kinko Hyoとも呼ばれる一目均衡表は、1930年代にジャーナリストの細田剛一氏によって開発された人気のテクニカル指標 です。1969年まで一般に公開されませんでしたが、今日でも世界中のトレーダーによって非常によく使われています。このストラテジーは日本では非常に人気があり、日本円の通貨ペアと日経平均に適用するとより効果的であるという説があります。
英語では「One glance equilibrium chart(一目均衡表)」と呼ばれ、トレーダーはこの指標から様々な情報を得る事が出来ます。
一目均衡表はどのように表示されるのですか?
このインジケータは、最初は複雑に見えるかもしれませんし、情報過多を防ぐためにチャートを「クリーン」に保つ事を好むトレーダーは、このインジケータに疑問を持つかもしれません。しかし、一目均衡表は非常に多くのことを教えてくれるので、あまり多くの追加インジケータを使用する必要はないのです。
一目均衡表はどのように機能するのか?
トレーダーは、テクニカル分析の一部としてうまく実行する前に、一目均衡表を構成する全ての構成要素を理解する必要があります。
一目均衡表の説明
一目均衡表の各パーツがチャート上でどの様に情報を提供するかは、以下の通りです。
雲
一目均衡表では価格が雲の上にあり、雲が緑色の領域にある場合、通貨ペアは上昇トレンドにあると言えます。一方、通貨ペアが雲の下で取引されて雲が赤の領域にある場合、通貨ペアは下降トレンドにあります。
このインジケータを使用するトレンドフォロワーは通常、上昇トレンドを示す時のみロングトレードを検討し、下降トレンドを示す時のみショートトレードを検討します。
また、雲はボラティリティのレベルも示します。大きな値動きがあれば雲は厚くなり、整理された時期があれば雲は薄くなります。
下の例では、6月上旬に雲が広がり始めボラティリティの高い時期の始まりである事がわかります。8月上旬に価格が雲を下抜けし、その直後にUSOILは暴落しました。
遅行スパン
トレーダーによっては、遅行スパンをトレンドの追加確認として使用します(すなわち、価格が下から上に向かって交差する線は買いシグナルとして見る事が出来、価格が上から下に向かって交差する線は売りシグナルとして見る事が出来ます)。
先行スパン
価格が先行スパンの上にある場合、トレーダーはトップラインを第1レベルのサポートとして、次にボトムラインを第2レベルのサポートとして見ます。
価格が先行スパンの下に位置する場合、トレーダーはボトムラインを第1の抵抗線としてトップラインを第2の抵抗線として見ます。
転換/基準クロスオーバー
トレーダーの中にはクロスオーバーが発生した時に、追加の確認や取引シグナルの為、転換/基準のクロスを使用する人もいます。以下はクロスの3つの例です。
一目均衡表の取引戦略
ここでは、強気と弱気の2種類の一目均衡表のトレーディングストラテジーを紹介します。
人気のあるストラテジーの1つは一目均衡表のブレイクアウト戦略です。
トレーダーは価格が雲を突破したら買い、価格が雲を下回ったら売ります。
以下はこの戦略の弱気例です。
ペアはGBP/JPYを見ています。8月中旬に価格が雲を下抜けし、通貨ペアは300ピップス以上損失を拡大しました。このストラテジーを使うトレーダーは、終了シグナルとして転換・基準クロスを待つ事が多いでしょう。このクロスは、短期的な下降トレンドが終了しこれ以上下降する余地がない事を知らせる可能性があります。
以下は、転換・基準クロスをトレードでどの様に使うかの例である。
US500は強い上昇トレンドの中にあり、価格は雲の上に位置しています。その為買い場を探す事になります。
5月中旬に弱気のクロスがあり、その1週間後に強気のクロスがありました。US500は強い上昇トレンドにあり雲の上でトレードされている為、弱気のクロスは無視したはずです。
しかしUS500はその後、大きく上昇を続けています。退場ポイントとしては、古典的な支持線/抵抗線レベルを使用するか、別の弱気クロスが起こるのを待つ事も出来たはずです。
MT4で一目均衡表インジケータを追加する方法は?
以下の手順に従って、MetaTrader 4の取引チャートにIchimoku Cloudインジケータを追加します。
一目均衡表はどの様な時間軸でも使用が可能で、「ベスト」なものはありません。それはあなたが、どの様なタイプのトレーダーであるかによります。デイトレーダーは M5やM15のチャートで一目均衡表を使い、トレンドの特定やエントリー・エグジットのシグナルを得る事を好むかもしれません。スイングトレーダーは H4または日足チャートに一目均衡表を置き、トレンドと主要なサポート/レジスタンスを判断する事を好むかもしれません。
ただし一目均衡表は、マーケットがトレンドにあるときに最も効果的に機能する事を認識しておく必要があります - これは全ての時間枠に当てはまります。
一目均衡表インジケーターからすでに様々な情報を得る事が出来、エントリー/イグジットシグナルにも使用する事が出来ます。従って、一目均衡表と一緒に多くの追加指標を使用する必要はありません。しかし、買われすぎや売られすぎのシグナルを出す事ができるオシレーターをチャートに追加する事は可能でしょう。また、価格とオシレーターの間のダイバージェンスに注意する事も重要です。RSI、ストキャスティクス、MACDのいずれかを使用する事が可能です。
下図は、AUD/USDのチャートで、一目均衡表とMACDの両指標を使用しています。
様々な情報 - 一目均衡表インジケータは、トレンド、サポート、レジスタンスレベル、モメンタムを判断するのに役立ちます。
インジケーターの数を減らす - 一目均衡表インジケーターはチャート上でかなりのスペースを占めますが、全体として必要なインジケーターの数を減らす事が出来、矛盾したシグナルを受け取るリスクが少なくなります。
短所
情報過多 -初心者は一目均衡表インジケーターの情報量に圧倒されてしまうかもしれません。全ての構成要素が何を表し、どの様に効率的に使用するかを学ぶには時間がかかるでしょう。
チャートスペース - チャートをきれいに保ちプライスアクションに焦点を当てる事を好むトレーダーは、一目均衡表インディケータに慣れるのに苦労するかもしれません。
一目均衡表は一見複雑そうに見えますが、各構成要素が何を表してどの様に使用するかを理解すれば、様々な情報を表示し、追加指標の必要性を減らす事が出来る為、トレーダーにとって便利なツールになります。
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